『魔改造の夜』にみた組織の活性化

マーケティングコラム

またまた面白いテレビ番組を見つけました。

【魔改造の夜】NHK 不定期OA
https://www.nhk.jp/p/ts/6LQ2ZM4Z3Q/list/

おもちゃ・家電を怪物マシンに!
超一流エンジニアたちの格闘技=魔改造!
今回は電気ケトルでなんと「綱引き」。
ほぼ発明レベルの超難題に
究極アイデアとテクニックで挑む!
——-NHK 番組HPより

最近ビジネスホテルでもよく見かける
あの電気ケトルです。
これを改造して綱引きをしろというのです。
まぁ「蒸気をエネルギーに変える」くらいは
素人の私でも思いつきます。
が、使える水の量はわずか200mlなど
なかなか過酷な条件が並ぶのです。

ここで面白いのが、挑戦する人たちの顔ぶれ。
企業のチームで参加することになっているので
社を代表するという気概に満ち満ちています。

自動車系研究開発プロ集団・T京R&D、
三大重工業の巨大メーカー・Aエイチアイ、
多彩な事業をもつ世界的ブランド・S二ー。
(この伏字がNHKらしい)

ここでSニーの取った行動に
思わず感動しました。

「我々は蒸気を扱ったことなど全くない。
でも強敵Aエイチアイは、
タービンを作っているメーカーじゃないか。
これは正攻法では全く太刀打ちできんゾ」

ということで、とにかく一旦蒸気は忘れて
縄を引っ張るという一点だけで
大量のアイディアを出すことに専念したのです。

なるほど~
蒸気を起点に考えても分からないのだから
とにかく色んな視点から見ることで
何かアイディアがないか探ろうということ。

これはマーケティングで使う技と同じです。
アイディアがなかなか湧かないときや
商品開発などの際に使う
「オズボーンのチェックリスト」
https://jairo.co.jp/keyword/588
強制的にいろんな視点から見ると
思いもよらないアイディアが出てくるんですね。

さて、結果的にこのSニーが優勝しました。

Aエイチアイはやはり「蒸気を動力に変えて最大化する」
にこだわって開発したものでした。
T京R&Dも似たような感じでしたが、
やはりAエイチアイには全く届かずでした。

そんな中Sニーはどうしたのかというと、、、

車輪のついた台車で引っ張る、という
その発想すら捨て去り、
巨大な装置を設置しました。
蒸気を注射器のピストンのようなものに溜めて
最大溜まった時点で一気に冷却し
ピストンが一瞬で戻る力で引っ張ったのです。
(文字だけで伝わったでしょうか、、、)

驚きました。
と同時に、さすがだなーと感動しました。
他の二社とは全く違う発想、
柔軟な頭脳が揃ってるんですねー

番組では、開発過程も取材しているのですが、
このカラクリを思いついた社員が
「寝ながら考えてて思いついた!」と
翌朝興奮した顔で皆に報告している様子に
見ているこっちまで嬉しさが伝わってきました。

もうひとつ全く別の視点で面白いと思ったのが
人材育成の部分です。

参加する人たちは、会社の組織とは
全く別のプロジェクトとして取り組みます。
リーダーに手を挙げた若い社員が
チームをまとめるのに苦悩したり、
わざわざ先輩に部品を作ってもらったのに
そのアイディアを下ろす判断をせざるを得なかったり、
そんなドラマの中で成長していく姿が
とってもステキでした。

過酷な環境を乗り越えるチームワーク、
他社のアイディアに広がる視野、
競争に敗れてもたたえ合う姿などなど。

業務の中だけでは経験できないことを
業務外だからこそ失敗してもいいと
思いっきり経験できる場を提供している番組
素晴らしいなと思います。

ちなみにatでも、社員教育のためには
OJT型のプロジェクトを動かすのが一番と
よく言っているので、
番組にいたく共感しました♪

思わず笑ったのは、T京R&Dのリーダーが
お題発表の後、一番に模型屋さんに行ったこと。
「船模型の蒸気エンジン」を買ってきたのです。
さすがZ世代。
上司が頭を抱えていましたね。

「お前、そこを開発する競技だろう!」

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