アンパンマンに学ぶ、マーケティングの本質
週末、アンパンマンの生みの親・やなせたかしさんの
初の大規模巡回展「やなせたかし展」に行ってきました。
漫画家、詩人、絵本作家、
イラストレーター、デザイナー、編集者など
多彩な活動を繰り広げた
やなせさんの人生。
原画 約200点の展示から
そのモノづくりの根幹にあるもの
生み出される過程を垣間見ることができて、とてもよかったです。
朝ドラだと、今、ここらあたりね、と照らし合わてみたり。
心揺さぶられながら、相変わらずマーケター視点がぐるぐる(笑)
国民的人気作品を生み出した過程には、マーケティングヒントがた
◎「誰かに深く届ける」――アンパンマンは最初、ウケなかった
アンパンマンの原点は、1973年に月刊絵本『キンダーおはなし
当初のビジュアルは、今とまったく違っていて
ボロボロのマントに指が5本、顔がすべて食べられて飛ぶシーンも
大人の目から見ると“シュールすぎる”設定だったのかもしれませ
案の定、出版社や絵本評論家、そして幼稚園の先生からも
「顔を食べさせるなんて残酷すぎる」と大ブーイング!
やなせさん自身も「大悪評だった」と振り返っています。
そんな中、光をくれたのが子どもたちの声。
「子どもがこの本を何度も読んでって言ってくるんです」
「アンパンマンが大好きみたいで…」
現場からの反応が、少しずつやなせさんの耳に届き始めたそうです
「大人からはあまり評判がよくなかったけど、子どもたちはアンパ
その声に背中を押されるようにして、次々とアンパンマンの絵本が
万人にウケなくていい。
大切なのは「誰に何を届けたいのか」ということ。
ニッチでも“深く刺さる共感”は、やがてマスへと広がっていく。
アンパンマンのエピソードは、まさにその象徴ですね。
【マーケティングポイント】
・ニッチへの深い共感が、長期的なファン化につながる
・マジョリティを狙わず、“本当に届けたい人”を見極める
◎「本質をシンプルに伝える」――商業デザインの経験が生きてい
アンパンマンには「正義とは?」「生きるとは?」という深いテー
この背景には、やなせたかしさん自身の人生が色濃くあります。
苛酷な戦争体験や、愛する家族との別れなどから
「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」
問い続け、その先にたどり着いたのが――
かっこよくなくてもいい。
本当に困っている人に、自分の顔のあんぱんを差し出せるようなヒ
その想いを、誰にでも伝わる形となったのは、
本質をシンプルに伝える引き算の表現によるもの。
ストーリーはもちろん、キャラクターのデザインにもシンプルさが
丸顔に赤いほっぺ、マントとブーツ。
子どもが見た瞬間に「アンパンマン」とわかるそのシンプルで記号
これは、やなせさんの画風でもありますが、
商業デザインの経験によるものもあるのではと感じます。
たとえば、三越の包装紙に使われている「Mitsukoshi」
実はあれも、やなせさんが三越宣伝部時代に手がけたものなんです
商品やブランドの本質を、一目・一言で届ける。
その力は絵本の世界でもしっかり生きているのです。
【マーケティングポイント】
・本質を言語化・視覚化するには、引き算の発想が有効
・一目・一言で伝わる設計がブランド強化につながる
◎老若男女に届く理由は、「やさしさの設計」
会場では子どもから年配の方まで、幅広い世代が展示を楽しんでい
その光景はまさにアンパンマンが世代を超えて愛され続けている証
その理由のひとつが、「やさしさの設計」です。
誰かを想う気持ち、困っている人に手を差し伸べる姿、仲間を信じ
アンパンマンの世界観には、言葉にせずとも伝わってくる
「やさしさ」があちこちにちりばめられています。
こうした「やさしさ」や「気遣い」は
実はマーケティングにおいてもとても大事です。
スペックやサービス内容以上に、人の心を動かすのは「感情への共
「自分のことをわかってくれている」「寄り添ってくれている」
と感じられる体験は、価格以上の価値を生み出し、選ばれる理由に
そしてその共感は、いったん生まれると「離れない理由」にもなり
アンパンマンがずっと愛されているように
感情に根ざしたブランドは、ファンの心の中に深く居場所をつくる
【マーケティングポイント】
・「やさしさ」「気遣い」は、ブランドの信頼を築く要素
・情緒的共感は、機能以上の価値を生む
・感情起点の体験設計が、長期的なファン化につながる
ところで、アンパンマンが世に出たのは、やなせたかしさんが60
「人生、何が起こるかわからない」というご本人の言葉が胸に刺さ
いや~、人生、まだまだこれからですね。
アンパンマンの世界には、本質を見つめ、シンプルに、やさしく届
そんなマーケティングのヒントがたくさん詰まっています。
“共感設計”こそが、長く愛されるブランドづくりの土台になるの
オフィスatでは、感情や共感を起点にした、ファンに愛されるブ
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