未来の教育/日本が女子の理系力をムダにする実態

マーケティングコラム

先日、全国高等学校PTA連合会大会に参加しまして
さまざまな講演を聞く機会をいただきました。

中でも、「未来の教育」について
教育政策を直接聞けたことはとても学びになりました。

「優れた能力がある者を伸ばせば
どんな個人間・地域間格差を広げてもいいということでは決してな
多様性・公正や個人の尊厳・多様な幸せ(well-being)の価値が
Society 5.0の中核であることを踏まえた教育・人材育成政策を示していく」

STEAM教育、GIGAスクール構想etc それぞれは聞くものの
全体として捉えて見る機会はほとんどありませんでしたので
点と点がつながりましたし、
企業の人材育成や採用(Z世代・α世代)にも、とても参考になる視点でした。

合田 哲雄 さん/内閣府(科学技術・イノベーション推進事務局)審議官
の講演の中でも紹介されていた内容です。
ぜひご覧ください(あ、70ページほどあります。汗)

■Society 5.0の実現に向けた 教育・人材育成に関する政策パッケージ(案)
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/005_s02_00.pdf

浅野 大介さん/経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長
の話は、こちらの記事が参考になります。

■教育DXで「未来の教室」をつくろう
https://www.watch.impress.co.jp/kodomo_it/edudx_special/1361232.html

(パネルディスカッションでは
経産省・浅野さん、文科省が長い合田さん
それぞれスタンスの違いから漫才のような
掛け合いがおもしろかったです。笑)

合田さんの話の中で
「今日はこれを話しておきたかった」と言われていたのが、
「文理分断と理数系の学びに関するジェンダーの偏り」についてでした。

↓ 前述のP15~18
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/mirai_jinzai/pdf/005_s02_00.pdf

「義務教育終了段階では、比較的高い理数リテラシーを持つ子供が約4割いるにもかかわらず
高校段階では、文理別のコースを選択するシステムも契機になり、理系が2割と半減。

さらに、大学入学時には学士は入学定員とも関連して
理工農系学部の学生は約1割に半減し、修士・博士と先細っていく状況。

特に、女子の理系離れは深刻であり、学士の理工農系進学は
女子全体のうち5%にすぎず(修士進学は1%)
その結果、これらの分野で学ぶ男子学生は9.5万人に対し、
女子学生は2.6万人と大きなアンバランスが生じている」

日本は、女子の理系学力をムダにしている! と。

私たちも先日、
福岡県のIT企業へ女性人材についての調査を行いましたが、
インタビューで口々に言われていたのが
「業界的に女性活躍しやすい環境だけど、女性の母数がとにかく少ない」
ということ。

せっかく活躍の場があるのにもったいない、と
企業現場の状況からも見てとれました。

要因の1つは、大学の理工系の学部が少ないこと。
それについては、
先日、理工系の学部再編を支援する基金創設とニュースが出ていましたが、
増やす対策を行うようです。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220814-OYT1T50253/

そのほかの大きな要因として、合田さんも指摘されていたのが
家庭や先生、まわりから受け取る「バイアス」だと。

「女子には理系は不利」「文系が就職に有利」というのが根強く
高1での文理選択や受験で、一気に文系に傾くのだそう。

「先生方、親御さん方、どうか理数リテラシーの芽を伸ばしてあげてください!」
と、合田さんが強く言われていたのがとても印象的でした。

一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会、Society5.0へ向けて
教育も、明治5年の「学制発布」以来、150年ぶりの
大きなトランスフォーメーションの時代です。

そのために不可欠な「主体的・対話的で深い学び」の環境を
子どもたちの教育、そして企業の人材育成で、どう進めていくか。

それぞれの場所で落とし込みながら、加速させていきたいものです

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