若者が出稼ぎに出て行くニッポン

マーケティングコラム

先日ショッキングなドキュメンタリーを見ました。
日本の若者たちが「出稼ぎ」のために
海外へ出て行っているという内容です。

「出稼ぎ」と言えば、貧しい国の人が
豊かな国に行ってお金を稼ぐ、が定説。
日本に来ることはあっても行くことがあるのか、
日本はそんなに貧しい国になったのかと驚きます。

海外で働く若者はこれまでも珍しくありません。
ただ、それは経験を積むためであり、
視野を広げるスキルアップの意味でした。

ところが今はまさに「出稼ぎ」
日本より給料がいいからだというのです。
ただ、実際はお金の問題だけでなく、
働く環境についての若者の不満もありました。

賃金についてみると、
ワーキングホリデーで人気のオーストラリアで
時給がだいたい2000円と日本の倍。

介護の仕事をしている若者の話では、
日本では月給が16万くらいで残業も多く、
休みの日は疲れて寝ていたと言います。

ところが今は、月に50万ほどもらえていて、
しかも残業もなく時間がたっぷりあるので
スキルアップしようと資格取得の勉強をしているのだそう。

日本の介護業界は慢性的に人手不足で、
海外人材に頼らざるを得ない状況だというのに、
一方で日本人は外に出てしまっているのです。

また、働く環境についての不満も多く聞かれました。

「日本では、年功序列や男女の賃金格差などで
キャリアアップを考えられなかった」(20代女性・元銀行)

「ピラミッド組織の縦型社会が色濃くあり、
若い自分の意見は全く反映されない」(20代男性・元会社員)

「(豪では)ちゃんと自分の意見を言えるし、
それを受け止めてくれる姿勢がある人が多い」(20代女性・元販売)

なんとも淋しい話ではないですか。
日本では働きたくないと言われているようで。

これまでの日本は
経済合理性をひたすら追求してきた結果、
いろんなものを捨ててきたように思います。

安くするためにあるゆるものを削ぎ落し、
食べ物も着る服も生活雑貨も
手に入りやすくなったことと引き換えに、
給料は上がらず経済も小さくしか回らない
貧しい国になってしまったのかなぁと。

給料は上がらないのに、バブル時代の
「24時間働けますか」という意識から抜け出せず、
みんなが疲弊しているように見えます。

オムロンのSINIC理論では、世の中は
工業化社会→最適化社会→自律社会→自然社会へ
進むと予測しています。

現在は「最適化社会」にあたり、
効率性や生産性、モノや集団が重視されていた工業化社会と
精神的豊かさを求める価値観が高くなる自律社会との狭間にあって
混とんとした時代なのだそうです。

破壊と創造を繰り返して次の時代を作っていく、
そんな時代だと言われますので、
躊躇せずにどんどん変化していきましょう。

変化に早く対応できた企業が
次の時代に早くリーチできるのだと思います。

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