「黄金の3割理論」と衆院選
衆議院選挙の結果を見て
皆さまはどのような感想をお持ちでしょうか。
女性の当選者は73人と過去最高となりました。
これまでの最高は2009年の54人ですから
大幅アップと言っていいでしょう。
それでも、当選者465人に占める割合はまだ15.7%
国が策定した「第5次男女共同参画基本計画」の
「25年までに35%」とする目標には
遠く及びませんでした。
さて、この35%という数字。
無謀な数字のようですが、なぜこんな大きな目標を
いきなり設定するのでしょうか。
ちなみに、女性活躍推進法でも
「女性管理職者を2020年までに30%にする」
(2020年時点で13.3%と未達)
↓
「2020年代の早い時期に30%にする」
(先送り変更)
女性版骨太方針でも
「女性役員の数を2030年までに30%にする」
と、やはり「30%」が並びます。
これには「黄金の3割理論」が関係しています。
これは、ハーバード大学の社会学者
ロサベス・モス・カンターが提唱したもので、
組織の中でマイノリティが3割となったときに、
組織全体の文化が傾くという理論です。
マイノリティが1割や2割では、
その意見はマジョリティの中で埋もれてしまい、
なかなか反映することができません。
が、3割を超えると無視することができなくなる
というものです。
例えば、100人の女子高が男女共学になって、
男子が10人入学してきたとします。
10人のために男子トイレを作るかというと、、、
「職員用のトイレで我慢しろ」となりがちです。
20人になると、ちょっと考え始めますが、
予算が厳しければやっぱり躊躇しますよね。
30人になれば?
さすがに作らないとダメでしょう。
マーケティングの世界では、この3割を
「クリティカル・マス」と言い、
商品やサービスの普及が一気に跳ね上がる
分岐点を指します。
つまり、組織文化も変化を起こすには、
女性の数を3割以上にすることなんです。
中途半端な数では、なかなか変化が起きません。
国の施策はそれを踏まえて
「3割」と言っているんですね。
ところで選挙に話を戻しますが、
「政治分野の男女共同参画推進法」ご存じですか?
候補者を「できる限り男女均等」にするように
政党に求めている2018年に施行された法律です。
が、達成した政党はひとつもありません。
一番多くて共産党の37.3%、
低い方から公明党16.0%、自民16.1%、維新17.7%
与党ほど守らないって、どうなんですかねー。
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