ジェンダードイノベーションで市場を創り出す

マーケティングコラム

突然ですが、1977年に造られた
板橋区にある「蓮根歩道橋」をご存じでしょうか。
歩道橋の真ん中にベンチがある画期的な歩道橋です。

ベビーカーや車椅子でも渡れる傾斜のゆるいスロープや
通路に設置された手すりなど利用者に優しいデザインが
当時としてはかなり先進的だったそうです。

私はテレビで何度か目にしたことがあります。
形が特徴的なので、名前は覚えてませんでしたが、
「あー、あれね」とすぐに思い出しました。

これをデザインした、橋梁デザイナーである
故大野美代子さんの「BRIDGE」という本に書かれた
一節が衝撃的でした。

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【蓮根歩道橋】
(略)
デザインにあたっては、通勤や通学、買い物や散歩で
使う橋なので、日常生活の視点を大切にした。
単に橋のスタイリングをするだけではない。
障がい者はもちろん、幼児、妊婦、高齢者を含む
皆が気持ちよく利用できるもの。
歩きややすく、美しく、途中にはベンチも欲しい。
(略)

ところが、
管理者の都の担当者との打ち合わせの際、
まず、橋の中央にベンチを置くという提案に驚かれた。
誰が利用するのかとの問いに、老人、そして妊婦
と答えた途端、どっと、男性諸氏から笑いが起きた。
老人はまだしも、妊婦とは、
男性には思いもよらぬ発想だったのだろう。
(略)

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『どっと、男性諸氏から笑いが起きた』
今の時代なら考えられませんが、
当時のその状況は何となく目に浮かびます。

ところが、
結局この歩道橋はその後大きく評価され、
土木学会が優秀な橋に贈る田中賞を受賞しました。

これが『ジェンダードイノベーション』です。
男性だけに偏ったグループでは
思いを馳せることがなかったかもしれない
弱者に対する優しい視点が入ったことで、
全ての人に優しい建物になったのです。

今なら男性であっても「老人や妊婦」などを
想像することは割と容易かもしれません。
ただ、悪気がなくても無意識の中に
このようなことは多々隠れているものです。

その他ジェンダードイノベーションの事例として、
以前もご紹介しましたが、

・女性向けスポーツシューズの開発
(単にサイズを小さくではなく骨格が違う)
・女性向けの薬の開発
(男性と同量では女性に副作用が多く発症する)

など、女性の視点を新たに入れることで
イノベーションが起き新しい市場が生まれます。

イノベーションは商品の開発だけではありません。

ある行政では、既存の様々な施策を
女性の視点で見直してみるとどうなのか、
という任意の勉強会を開いていて、
色んな部署から相談を受けているそうです。

こういう仕組みがあれば、最近炎上した
東京都の「移住婚女性に60万円支給」
などというズレたプランは
生まれなかったと思いますけどね。

女性の視点で見直してみる、ということを
御社でも一度実施してみませんか?
・商品、サービスについて
・HP、会社案内ほか、発信ツールについて
・求人広告について
・販促方法について
・展示レイアウトについて
・社内の制度について
・行政の市民向けサービスについて など

ジェンダードイノベーションの可能性を
ぜひ探ってみてください。

ちなみに、女性の視点と言われても
女性自身が理解していなければ意味がありません。
その場合は、私たちにお任せください。

1. 見直しリサーチ
2. 女性の視点を理解する研修
※前述の行政の方は2の研修の受講者です

お気軽にお問合せください。

https://office-at.biz/contact/

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